石田のヲモツタコト

書いてるのは 石田剛 です。

【重要】まずは「石田のヲモツタコト」の中の人と「その他の石田」の分離を読んでください。

日本人類遺伝学会 第52回大会:市民公開講座 聴講レポート 市民と確率編

# 2007/11/28 まちがって削除した字句を補った 可能性に
# 2007/09/28 誤変換訂正 確立 → 確率 3箇所
日本人類遺伝学会 第52回大会:市民公開講座 聴講した - 石田のヲモツタコト」で触れた公開講座の、聴講レポートをひとつ書いた。


鎌谷直之氏(東京女子医科大学)による「個人の遺伝子検査に対応できる社会教育」では、市民が確率を受け入れる必要性のお話があった。


以下、鎌谷氏が講演で述べたこと。
医療に関する情報はメディアやインターネットの作用により、どんどん OPEN になる一方で、この流れを止めることはできない。多くの情報に触れている患者に対して、医師が採りうる態度は下記の 3通り がある。

  1. 隠す(「医者に質問するもんじゃない」という態度で接するなど)
  2. ウソつく(治療の効果について「必ず効きます/必ず良くなります」としか答えない)
  3. 確率を告げる(治療によって期待する効果を得られる確率を正直に述べる)

このうち、誠実な態度は #3 しか無い。


しかし、多くの患者は白黒つけて欲しがる。曰く「私を確率の対象にしないでください」など。ここで、確率しか言えない医師と、白黒つけて欲しい患者の対立が起こる。
個別の患者または状況に対する、全ての薬の作用を、予め正確に予測する技術が確立すれば、この問題は起こらなくなる。けど、そういうことが実現する見込みはまず無いし、コストとベネフィットを考えても、合理的でない。
この問題を解決するには、多くの市民が確率を理解し、それを受け入れるしかない。


関節リウマチへの「オーダーメイド医療*1」では、治療がどのように作用する見込みであるか予測する、「4個の予測」が実用化されている。けど、この「4個の予測」を個々の患者に適用した結果も、やはり確率でしかない。しかし、「4個の予測」の成果は、その確率を個々の患者ごとに算出することで、治療の効果予測の精度を大幅に高めたことにある。


石田のヲモツタコト:
当然ながら、確率を捨てて「白黒つけることが可能になる状況」を求めるべきではない。これを求めるのは、明らかに不合理だ。しかし、科学によってこの確率の精度は高まっていく。この精度を高めることには、大きな意義がある。
近い将来の死の可能性に直面している患者の方にとって、確率を受け入れることは容易ではないだろう。しかし、その確率が 50% なのか 90% なのか 99.99% なのかでは、まったく事情が異なるはずだ。この精度が高まっていけば、患者の方も確率を受け入れ易くなるだろう。この予測の精度をある程度高めることは、科学の仕事として合理的な場合もありそうだ。


参考:

*1:個々の患者の遺伝情報などから、どの薬がどのくらい作用するかを予測して治療方針を決めるなど、患者ごとに最適化された医療だと石田は理解している。