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石田のヲモツタコト

書いてるのは 石田剛 です。

文章表現論 お題:音 タイトル:「足音」

 我が家の夜は早い。
 子供たちは、だいたい夜の九時ごろには床に就く。早い日には、夜の七時くらいに寝てしまう日もある。だから、私は夜遅く家に帰ってきたときには、物音に気を遣う。


 玄関のドアをなるべく静かに開けて入る。入ったら静かにドアを閉めて、泥棒と間違えられないように、小さな声で「ただいま」と声をかける。このとき、誰かが起きていれば「おかえり」と声が返ってくることになる。
 しかし、妻も子供もみんな寝ていることもしばしばある。そういうときは、なるべく静かに靴を脱ぎ、玄関に上がって居間に入る。このとき、玄関から居間へ続くドアも、玄関ドアと同様に静かに開け閉めする。そうして、居間から二階へ続く階段を、足音を立てないようにそっと上っていく。


 子供たちは、二階の寝室に寝ている。もうすっかり寝入った後であれば、少々の物音では起きない。しかし、寝入りばなではわずかな物音でも目を覚ますことがある。目を覚ますと、子供は当然に機嫌が悪い。子供がぐずることは、私にとっては別段構わないことなのだが、子供を寝付かせたい妻にとっては、非常に都合が悪いらしい。というわけで、私は主に妻の為に、寝入り端の子供を起こさないようにしている。


 二階に上ると、音を立てないように細心の注意を払って、寝室のドアを開ける。ドアを動かさないようにして、ドアノブだけを音を立てずに回す。それから、音を立てないようにそっとドアを開け、中の様子を伺う。妻子が寝ていることを確認すると、そのままドアをさっきと同じように、かちゃりとの音も立てずに閉め、足音を立てないように階段を下りる。


 私は一階に戻ると、部屋着に着替えて夕食を摂る。夕食の後は、本を読んだり、小さな音量でテレビを見たりする。こういうときに、階段を下りてくる足音がしてくることもある。私が、妻が下りてきたのかと思って「ただいま」と声をかけると、足音の主は猫だったりすることもよくある。


文章表現論2007 - 石田のヲモツタコト