石田のヲモツタコト

書いてるのは 石田剛 です。

【重要】まずは「石田のヲモツタコト」の中の人と「その他の石田」の分離を読んでください。

機関運用訓練 聴講レポート その2

# 2009/10/25 1箇所訂正, 1箇所追記
# 2008/11/10 誤字をいくつか直した


この訓練は消防団での訓練。石田は本職の消防官ではなく、消防団員やってる。
参考:機関運用訓練 聴講レポート その1 【追記アリ】 - 石田のヲモツタコト

エゼクターの使い方

エゼクターは、すでに吸管を 1本 使って送水している状態で、もう 1本 の吸管も使いたいときに使用する。これは、送水量を増やしたくて、ポンプはまだ送水する能力があるものの、吸管の流量がすでに限界で、送水量を増やせない場合などに使う。ただし、水利が有圧水利である場合は、エゼクターは使わない。
このように吸管を 2本 使うケースを、現場では「ダブル吸管」と呼んだりする。けど、実際にこれが必要になるケースはまれ。


2本目 の吸管を水利に浸けても、その吸管からポンプまでは水が入っていない(水がおちている状態)ため、そのままでは吸水できない。真空ポンプは、すでにポンプに水が入っているので使えない。そこで、 1本目 の吸管とポンプで送水している水流を使って、 2本目 の吸管とポンプの間に負圧を作り、空気を抜いて水を揚げるための仕掛けが、エゼクターである。


1本目 の吸管での送水を維持(このとき、送水の水流が速いほどエゼクターによる効果が高い)しながら、エゼクターバルブを 1/4 くらいあけて、上手に吸管の空気を抜いていく。イキナリ全開にすると、水流が作り出す負圧の作用がうまく吸管に伝わらず、水が揚がらない。うまく水が揚がってきたら、吸水口バルブを徐々に開けて、 2本目 の吸管とポンプの間に水を満たす。ここでは、エゼクターバルブと、吸水口バルブの微妙な操作で、上手に水を入れてやる必要がある。
うまく水が揚がって、 2本目 の吸管からポンプまでの管が水で満たされれば、ダブル吸管は完成している。他に支障が無ければ、ポンプの回転数を上げれば吸水量も放水量も増えるはず。


ヲモツタコト:
エゼクターを上手に操作するには、練習をしておく必要がありそうだ。けど、実際に使う機会は少なそうなので、優先順位は低いのかもしれん。

キャビテーション

送水しているポンプの回転数を上げて、送水量を増やそうとするとき、ポンプへの吸水量を超えて送水しようとすると、ポンプのタービンでキャビテーションが起こる。これが起こると放水に不都合があるので、これを起こさないように操作する。


# 2009/10/25 追記
キャビテーションが起こった場合は、吸水量を増やすか送水量を減らすかすれば、キャビテーションは解消する。


ヲモツタコト:
キャビテーションに関する石田のうろ覚えの知識。消防団の機関運用訓練で得た知識ではない。
船の速度が遅いときに、プロペラを速く回しすぎると、プロペラの周囲で前から入ってくる水の量以上に、後ろに水を押し出してしまう。このとき、プロペラの周囲で真空ではないが極めて気圧の低いと思われる気泡が生じる。プロペラのエネルギーが、この気泡を作るために消費されるとか、そもそもプロペラは水に触れてる状態で最高の性能を出すように作られているなどの理由で、キャビテーションを起こすのはすごく無駄。プロペラも傷むし、シャフトの回転も無意味に速くなったりして、エンジンにもよくない。
とにかく、キャビテーションは起こさないように機関を操作すべし。

ポンプの計器

送水圧力を示す計器と、吸水圧力を示す計器がある。
送水圧力の計器は、 向かって左下はしが 0MPa から始まる正の数の目盛りだけの追針式メーターである。だいたい、 3.5MPa まで目盛りがあるようだが、実際にこの水圧にするとホースがもたないので危険。
吸水圧力の計器は、中央が 0MPa で、向かって左側が負の数の目盛り、向かって右側が正の数の目盛りになっている、追針式メーターである。

  • 送水圧力

放水している筒先の数、ホースの本数、ポンプ車と火点の高度さ、筒先で求められている放水圧力などを元に、適切な圧力になるように、ポンプのスロットルを操作する。ホースの使用水圧(1.6MPa)を超えないように気をつける。ホースが傷んでいる場合があるので、実際に 1.6MPa で送水するのは危険であることにも留意する。
参考:機関運用訓練 聴講レポート その1 【追記アリ】 - 石田のヲモツタコト


  • 吸水圧力 / 有圧水利(消火栓とか)の場合

有圧水利から水をとっている場合は、針は正の方向に振れる。この針が 0MPa に近づくと、その水利から取れる水の量が限界に近づいていることを示している。したがって、この状態でポンプの回転数を上げても、送水量は増えず、キャビテーションを起こす原因にもなる。
この状態から送水量を増やしたい場合は、もし消火栓のバルブが全開でなければ、開ければ吸水水圧が上がる可能性がある。けど、普通火災の時には最初から消火栓のバルブは全開にする。というわけで、普通この状態から送水量を増やすことはできない。水道局のポンプ所の送水圧が上がって、吸水水圧が上がることはあるかもしれない(ないかもしれない)。

  • 吸水圧力 / 無圧水利(川とか水槽とか)の場合

無圧水利から水を取っている場合は、針は負の方向に振れる。この針が 0MPa に近いほど、吸水力に余裕があることを示している。この針が示す値が -0.07MPa 程度になるあたりが吸水の限界。限界になれば、やはりそれ以上の送水はできなくなるし、キャビテーションを起こすことになるかもしれない。


ヲモツタコト:
無圧水利からの吸水の限界が -0.07MPa であることは、同じ訓練で習った「水面からの高さ 7m が吸水の限界」という内容と一致している。よりポンプ車との高低差が少ない状態で、水利を取れれば水を吸い上げやすいことも、頭に入れておくべき。

冷却水バルブ

ポンプ運用中は、必ず常に開いておく。この冷却水は、ポンプとエンジンを冷却している。石田の部で使用しているポンプ車は、ポンプ操作盤にある冷却水バルブを開くと、ポンプとエンジンの両方に冷却水が回る仕組みになっている。
冷却水バルブは、同じ働きをするものが メイン/サブ のふたつがあり、通常はメインだけを開く。メイン側に支障(異物が詰まるなど)が生じた場合は、これを閉じてサブを空ける。

ふた口の消火栓

たまに、取水口が 2口 ついている消火栓がある。この消火栓に、 1本 だけ吸管を繋いだ場合は、使っていない取水口のふたがしっかり閉まっていることを確認してからバルブを開けること。
バルブを開けると、 2口 両方から水が出るため、ふたがしっかり閉まっていないと水が噴出したり、最悪はゆるく乗っていたふたを天高く打ち上げてしまうこともありうる。

水道局の水圧計

たまに、消火栓に水道局の水圧計がついていることがある。この場合は、まずバルブを閉じて水圧計を外し、吸管を繋いでからバルブを開ける。

吸管の取り扱い

吸管は、内側が高圧または負圧になる状態に対しては、十分に強くできているが外力には弱い。吸管を踏んでつぶさないように十分に気をつける。特に車両や、ホースカーで踏まないよう、また踏まれないように水利部署周辺の配置をくふうする。

quick attack

火災現場においては、早い放水開始が重要。まずは 1線 延ばして、すばやく水をかけ始める。 2線目を延ばすとか、ダブル吸管にするとかの操作は、 1線 の有効注水が得られてから考えるべき。
したがって、エゼクターの操作が難しいからといって、最初からダブル吸管にして真空ポンプで水を揚げるとかは、すべきでない。

有圧水利の限界

有圧水利に吸管を繋いでも、吸水の水圧が上がらないことがある。このときは、その水利からは水が取れないと判断すべき。
多くの場合、これは近くの消火栓で、すでに他のポンプ車が水道管の限界いっぱいまで吸水している場合に起こる。この状態で無理に吸水してしまうと、すでに有効注水を得ている(かもしれない)他のポンプ車の放水に支障が生じる恐れがある。これはすごくマズいことだ。


消火栓から水道局のポンプ所につながる水道管の経路が、 2通り 以上ある場所では、この問題は起こりにくい。しかし、町田市内には消火栓からポンプ所の経路が 1通り しかない消火栓も多数ある。これは、つまり水道管が袋小路になっている場所であり、地形などからある程度推測できる。
水道管の袋小路の途中で既に水を取っていると、その先(つまり行き止まり側)の消火栓では水が取れない可能性が高い。


有圧水利の水圧が限界の状態でしばらく放水を続けると、ポンプ所の送水水圧が上がって、水圧が上がる場合もある。こうなれば、既に放水しているポンプ車の放水量を増やしたり、近くの消火栓から取水できるようになるかもしれない。


今日はここまで。
参考:消防団に入る一般的な動機ってなんだろう - 石田のヲモツタコト