町田市民病院では、 2008/10/01 から地域型の周産期センターを始めてるそうだ。
参考:市川勝斗のブログ!:市民病院 周産期センター
この始める 4ヶ月 ほど前の時点で、町田市議会の健康福祉常任委員会では、こんな議論があったようだ。
平成20年健康福祉常任委員会(6月)−06月13日-01号
◎市民病院事務長 第54号議案 平成20年度(2008年度)町田市病院事業会計補正予算(第1号)についてご説明申し上げます。
本件は、5月に開設いたしました南棟の5階に新生児集中治療室6床と回復病床16床を設置し、地域周産期センターを整備するための備品購入費の補正でございます。
まず、1ページでございます。
第2条ですが、平成19年度において予算計上しておりました周産期センターの医療機器等購入費につきましては、新生児担当医師の確保が進まなかったため、購入を見送りました。本年度、4月になりまして新生児担当部長を採用できたため、改めて必要な医療機器を整理した上で、本年10月の開設を目指しまして、2億8,825万4,000円を増額補正するものでございます。
次に、第3条でございますが、建設改良事業の増額に伴います資本的支出の増額補正を示しております。
また、第4条では、重要な資産といたしまして、新生児集中治療室用の生体情報管理システム1式を取得するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。
つまり、医師の招聘ができそうなので必要な医療機器を買いたい、それを承認して欲しいということらしい。
質疑
質疑では、周産期センターについて、委員からざっとこんな質問が出ている。
- 現在の床数とスタッフの数
- 今後の医師招聘の見通し
- その見通しについての説明が以前と違ってるのはなぜか
- 当直の計画
- なぜ今になって医師の招聘が順調なのか
- 町田で医師を招聘することでよそにしわ寄せが出ないか
- NICUの開設が小児救急の維持を難しくしないか
- NICUご担当の医師(当事1名)と小児科医(たぶん病棟と外来の方)の連携はどう?
- 買う機種はもう決まってるのか / 未定なら候補は 2-3程度 あるのか
- 医師を確保*1した後に予算執行するということで間違いないか
- (先の質問で事務長と総院長の答弁が不一致であること指摘して)事務長と総院長の答弁が不一致なのはなぜか(市民病院参与から不一致ではないとの答弁あり)
- (医師がそろわないのに道具をそろえれば、医師が居ない期間は維持費がかかるだけである旨を述べた上で)機器の耐用年数と年間維持費
- 町田市民病院が周産期を担う意義とか必然性
- (優良な経営をしている青梅市立総合病院を訪問した際、同病院では不採算だから NICU はやらないという話を聞いた*2)採算はあうのか
- 理事者側はこの事業を支持しているか(理事者は副市長が居たようだが市長は居ない/改めて市長の出席を求め質問することにしたらしい/それとも副市長は居なかったのかな?)
- 改めて病院側がこの事業は必要と考えているか確認
- (質問者自身が専門家でないことを述べつつ)この機器は何に使うものなのか
- 購入ではなくリースにすることは検討したか
- 生体情報管理システムの出力はスタッフの居るところに集約されるのか、それとも各病床の前まで行かないと見れないのか
- この購入は 2008/10/01 の周産期センター開始を前提にした購入だが、期日どおりに開始できなかったらだれの責任になるのか
- 購入に国から補助はあるのか
- この事業は、東京都の周産期医療事業対策の一部なのか
- 東京都から赤字の穴埋めはしてもらえるか
- 補助金に関する東京都のスタンスはどう
- 東京都の周産期医療事業対策はどんなものか配置計画なども踏まえて説明してくれ
- 病院側と市長との間のコミュニケーションについて、これまでの経緯も踏まえて市長の考えを述べてくれ
- この事業の赤字を市からどう補助するか市長の考えを述べてくれ
- この事業の赤字を避ける取り組みについて市長の考えを述べてくれ
- 東京都への補助の働きかけの状況を説明してくれ
- 事務長と総院長の見解の食い違っている件は、どちらが正しいか改めて述べてくれ(総院長と事務長双方から食い違っていない旨の答弁アリ)
個別にツッコむときりが無いな。
「何をいまさら...」と思うものや、「機器の購入の可否と独立な議論はよそでやってくれ」とか「そもそも周産期センターをやるべきかどうかはもっと以前に議論しろよ」とか、「そんな細かいこと聞いてどうするよ」とか、「医療の導入の可否は採算じゃなくて要否とか需給で考えて欲しい」とか、「補助の有無で購入の要否が変わるのかよ」とか、「質問は具体的にせよ」とか。。。
答弁に立たれた病院職員の方々は、これらの質問に真摯に応じておられる。鋭い切り返し(ツッコミ?)もあるが、これは対立するための切り返しではなく、誤解を解くための合理的な応答だったと、石田は読み取った。
改めて、市民病院総院長はじめ、議会対応を行う病院幹部職員の方々のご苦労が偲ばれる。
討論
討論は無かった。
採決
この件の審議を始めたのが 11:00 で、途中細かい休憩と昼休み(約2時間)をはさんで 14:13 まで審議をし、その後賛成全員でこの議案(第54号議案)は原案のとおり可決すべきものと決した。
ヲモツタコト
もし「地方公営企業法の全部適用」でこういう手間が省けるなら、それは「全部適用」すべき重要な動機になるな。であれば、「一部適用」である現状で、病院経営の足を引っ張っているのはいったいだれなのか、ちょっと考える必要がある。
*1:この「確保」は委員による発言。石田は医師である総院長が「医師確保」と言うことには特に異存は無い。医師でない議員や市民には「招聘」と言って欲しいと考えている。
*2:これは委員による伝聞情報であることに注意。青梅市立総合病院の方が本当に「不採算」を主な理由に NICU を設置しないのであれば、これはとても残念な出来事だ。
本来医療は営利事業ではなくて福祉であるはずだ。医療を福祉として社会全体で支えることができないとしたら、その社会は貧しい。医療を要する方がすべて不摂生な生活をしてたわけじゃない。原因も予防法も不明な病気もたくさんある。NICU を必要としている新生児自身は、そのことに何の責任も負うべきでないことは明らかだ。もし、親に何かダメな行動があったとしても、そのせいで新生児が被る不利益は、より小さくする努力を社会がすべきだ。